事業計画が認められ返済条件が変更に

会社概要

従業員100人の運送会社で、同族経営。

問題点

バブル期に、事業承継対策として総投資額18億円を掛けて本社を賃貸ビルに建て替え、本社は新たに土地を購入して新築しました。業績は順調に推移していますが、18億円の新たな借り入れによって過大債務になり、資金繰りが苦しくなっていました。

現状分析

業績は前期が売上高16億円、税引前利益4,000万円を計上。今期も売上高17億円、減価償却費控除前利益3,000万円が確保できる見通しで、本業は収益力がある。
資産は地価の下落で賃貸ビル、本社ビルの評価が大幅に下がり時価で10億円しかない。これに対して負債合計20億円で、実質10億円の債務超過になっている。

基本方針

利益を計上し取引先も安定している本業の建設部門を強化し、赤字の不動産事業から撤退する。

方策

  1. 賃貸事業は利益を上げているので、賃貸ビルの売却による債務圧縮は、逆に資金繰りを圧迫する要因になるため、この方策は採らない。
  2. ノンバンクに対する6億円の期日一括返済を含めた合計8億円の返済条件変更計画をつくり、各金融機関に要請する。具体的には、返済に無理がないキャッシュフローの範囲内(建物の減価償却費+税引後利益)で元本を返済する。この場合、年間返済額を3,000万円に抑えるために、返済期間は27年間に延長し、適用金利は現在のレートから0.4%引き下げる。
  3. ノンバンクとの交渉に備えて、実態貸借対照表と事業計画書を作成する。

結果

  1. ノンバンクに事業計画書を説明することで、6億円一括返済は回避できました。
  2. キャッシュフローの範囲内という要望に近い返済条件の変更が受け入れられました。
  3. 適用金利も0.4%引き下げられ、年間約300万円の返済額圧縮になりました。