会社概要
A社は首都圏で生鮮食品卸業を経営。
問題点
バブル期に多角化を図ろうとして進めた不動産投資による多額の借入金の返済と、売上の減少によって、資金繰りが困難になっていました。
現状分析
会社全体では売上高3億円で600万円の営業利益を上げていました。つまり、本業部門の生鮮食品卸業は、利益は少ないものの黒字経営だったのです。ところが、会社の借入金10億円に対する支払利息など営業外費用が多く、経常損益は2,000万円の赤字になり、金融機関への債務返済が滞り始めていました。
唯一の資産である不動産の時価は2億円しかなく、しかも個人保証していた社長個人も4億円の借入金があり、全体の借入金は14億円になっていたのです。
基本方針
長年の取引先に迷惑をかけられないため、金融機関の了解を得て、営業譲渡による別会社方式で再生を目指す。
方策
- 収益事業である生鮮食品卸業を、別会社B社に2,000万円で営業譲渡する。
- 譲渡代金と売掛債権は未払金、仕入債務とほぼ相殺しました。
結果
本業に関係ない投資不動産は、全て売却して債務の一部返済に充て、同時に不動産賃貸部門は閉鎖しました。
これによって、A社は何の実態もない会社になりましたので、清算をしました。B社は借入金がないため、生鮮食品卸業として健全な事業を展開しています。